【神奈川】平安時代から続く大切なお祭り「相模国府祭」へ行ってきました

神奈川県中西部には、何と平安時代から現在まで続いているお祭りがあります。

「相模国府祭」と書いて「さがみこうのまち」と読みますが、県内の5つの神社のお神輿が大磯町にある祭場へ集まる、と聞いて以前からすごく興味があったのです。

幸いなことに、五社のうち三之宮比々多神社の氏子さんからお祭りについての詳細をお聞きできて、5月5日のお祭り当日はこちらの神社の神事を見学させて頂くこととしました。

三之宮比々多神社の神事を見学

比々多神社は伊勢原市の、大山詣で賑わう大山の参道沿いにある神社です。朝から発御祭という神事が行われ、8時過ぎには神社を出発。

宮司さんや氏子総代、雅楽舞台やお神輿隊、山車のお囃子隊などなどたくさんの人が行列を作ります。

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神社を出て500mほど歩いたところで、お神輿はトラック、人間はバスに分乗します。昔は大磯まで歩いたそうですが、現代では中々難しいのだそうです。

一行はすぐに大磯へ向かわず、途中平塚市の光明寺というお寺に立ち寄ります。比々多神社の御分霊を乗せたお神輿は仮宮扱いにもなりますので、休憩を兼ねてこちらのお寺で地元の方の参拝を受けていました。

また出発前には、門前を流れる金目川にお神輿隊が入り禊をします。

禊

お神輿をかついだままなので足先をつける程度かしらと思っていたら、結構川の真ん中まで入って行き威勢良く動くので、担ぎ手の皆様は腰下までビショビショでした。

しかもこちらのお神輿は「あばれ神輿」と呼ばれていて、担いでいる最中にわざとおおきく傾ける動作をします。川の中でも「あばれて」いたので、見ている方がヒヤヒヤしました。周りからは大歓声です。

禊が終わり、神社御一行はそのまま車で大磯へ向かいます。私も自分の車で向かい、事前に調べていた大磯運動公園の駐車場へ停めてワクワクしながら次の祭場、神揃山へ歩きました。

ちなみに周辺は駐車場がありませんが、少しはなれた運動公園や大磯ロングビーチの駐車場を利用する方が多いようです。

いよいよハイライト、神揃山での神事

神揃山(かみそりやま)は街中から少し山手に入ったところにある小高い台地です。春は桜の名所として人気で、木製の階段やベンチが設えてありましたが、それ以外は削平などの人の手が入っていない、昔のまま姿だそうです。

ここに相模国(現在の神奈川県)の一~四之宮である寒川神社・川匂神社・比々多神社・前鳥神社と平塚八幡宮の五社が集まり神事を行います。

神揃山に入る順番も一之宮から順と決まっていて、3番目である比々多神社が入る頃には既に結構な人出です。お祭りの関係者だけでなく、私のような見学者もたくさん居ます。

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そもそもなぜ大磯に集まるのか?それは平安時代の制度に由来しています。当時国の一番偉い国司は京都から派遣されましたが、任地へついてのお仕事に有力神社への参拝がありました。

五穀豊穣、天下泰平などを神様に祈ることも国司の大切な仕事だったのです。有力神社の数は国によって異なりますが、相模国の場合は五社ありました。

これらを巡るのは中々大変…と考え出されたのが「総社」という神社です。こちらに有力神社の御分霊を置き、お参りすれば五社を巡ったこととなると考えられました。

そのかわり御分霊はきちんとお迎えしなければならず、年に一度行うこととなりました。これが相模国府祭の起源です。なので相模国総社・六所神社がある大磯へ集まるのです。

神揃山では各仮宮で御札・お守りを受けたり、無病息災で過ごせるチマキ撒きがあったり、宮司さん達による各社拝礼があったりとさまざまな賑わいを見せています。

残念なことにこの日は少し小雨のパラつく天気でしたが皆様なんのその。着々と神事を進めていきます。私もこちらでのメインの儀式「座問答」がよく見える場所に陣取りスタンバイです。

「座問答」とは一之宮である寒川神社と、二之宮である川匂神社の席次争いを表した神事と言われています。頭までついた虎の皮を神様の座に見立て、それぞれの神社の宮司が交互に祭壇へ近づけていきます。

これを3度繰り返した後、比々多神社の宮司が「いづれ明年まで」と仲裁をして終了です。決着は来年にしましょう、という意味ですが、1000年間「また来年」と繰り返しているのかと思うと何だかおもしろさを感じてしまいます。

席次争いを行うというのは、相模国が成立した際一緒になったのが相武(さかむ)国・磯長(しなが)国だったことに由来します。

それぞれすでに寒川神社・川匂神社という一之宮があったため、どちらが相模国の一之宮となるか争った故事が反映されているそうです。

また一節には、奇稲田姫を祭った六所神社へ妻問いをする五社の男神の、その順番を争っているとも伝わるそうです。後者の方がロマンチックですね。

お祭りも大詰め、大矢場祭場での神事

座問答が終わると、六所神社へ五社のお使いが出発しました。次なる大矢場祭場で行われる神事にお出でくださいというお知らせです。その後五社のお神輿は神揃山を降りていきます。

そして大矢場祭場へ関係者全員が集まっていきます。ここは普段閑静な住宅地内の公園なのですが、この日は仮宮ができるわ、山車はお囃子、周囲には屋台、見学者や近所の方々も一杯…と、とんでもなく賑わっています。

そこへお神輿が入ってくるのですからもう何が何やらという雰囲気です。仮宮にお神輿を鎮座させて、六所神社の一行を待ちます。

ちなみにここからの儀礼は「国司が五社を参拝」するところも再現します。国司役は代々の大磯町長で、この日も直衣姿で白い馬に乗って登場です。

なお六所神社御一行をお迎えするための「鷺の舞」「龍の舞」「獅子の舞」が、大矢場に設置された船形舞台で披露されます。これは平安時代から伝わる天下泰平などを祈る舞だそうで、現在残っているのが3~4ヶ所しかない貴重なものです。

仮宮前で儀式が始まると、賑やかだった山車のお囃子は終わり、変わって雅楽の音が響いてきます。その中で巫女舞や各社宮司の参拝、国司の参拝…と儀式が厳かに進んでいきます。

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一連の儀式が終わると相模国府祭は終了。今度は各社へ帰るための行列が作られます。

お神輿隊はここでも見せ場、大矢場前の交差点(当日は車両通行止めになっています)に各社のものが集まり、練り歩くわ「あばれる」わ甚句を披露するわの大賑わい。お祭りの最後を盛り上げます。

まだまだ終わりません!最後に還御祭

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大矢場を後にし、また比々多神社御一行を追いました。とは行っても皆様は神社に帰りがてら直会の席に出るので、私もちょっとのんびりと伊勢原へ向かいます。

夜の7時前、比々多神社の前で待っていますと、少し遠くからお囃子の音と提灯の明かりがこちらへ向かってきました。行きと同じように神社へ入る前には行列を組んでいます。夕闇の中で中々幻想的な光景でした。

神社について無事にお神輿を置き、還御祭が執り行われます。もう他に見学者の姿もなく、お宮の中で行われる神事でしたので、ここまでと神社を後にしました。

念願だった相模国府祭見学。噂よりも移動が中々ハードなお祭りでしたがとても興味深く楽しかったです。次の機会には別の神社について行きたいなと思いました。

旅が好き&出張の多い仕事のため、国内あちこちに出没しています。たまに海外も行きます。目下の目標は四国に初上陸して、47都道府県全てを訪れることです。各地の楽しい情報をみなさまにお届けできるような記事を心がけます。

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