神奈川県内は首都圏の郊外という一面もありまして、探すと素敵なガーデンやバラ園が結構存在します。その中でも最近特に注目しているのが、5年ほど前にオープンした平塚市にある神奈川県立花菜(かな)ガーデンです。
園内は大きくフラワーゾーンとアグリゾーンに分かれ、農業公園とガーデンとしての性質を併せ持つだけでなく、農業や園芸について学べる施設にもなっています。
92000㎡もの園内の約4分の1ほどがフラワーゾーンとなっていますが、ただきれいなだけでなく、さまざまな種類のさまざまな品種が育てられ、ネームプレートなどの説明板もきちんと設置し名前や性質を学べるようになっています。
オープンから5年経ち、バラのガーデンもとても素晴らしく育ったという噂を聞きつけ、秋バラ最盛期の花菜ガーデンを訪れてみました。
秋とは思えないほど咲き誇るバラたち

花菜ガーデンに入場して早々、北側にあるフラワーゾーンの「薔薇の轍」エリアに向かいます。ここには野生種からつい最近に品種改良されたバラまで、1170品種1900株ものバラが育てられているのです。
エリア内も育てている品種やテーマによっていくつかの区画に分けられ、回遊式に巡れるように整えられています。

バラといえば5~6月に楽しむイメージがあり、バラ好きな私も正直秋にあまり鑑賞したことはありませんでした。しかしすぐにそれを後悔。初夏に劣らない、むしろ存在感を増した美しい花々が一斉に咲いています。
清涼感のある初夏のバラよりも、はっきりとしていたりマットだったりという色だという印象です。もちろん可憐な品種もありました。
初夏のバラは自然に咲くけれど、秋のバラはガーデナーさんの腕前で咲かせる、と言われているそうで、みなさんの丹念な生育によってこの素晴らしいバラが味わえると思うと感謝もひとしお。
エリア内を何周もして、全盛期を迎えたバラを楽しみました。香りも素晴らしかったです!エリアを去っても、自分にバラの芳香が残っていることに気づくほどでした。
芝生広場をぐるりと囲む花畑
花菜ガーデンの中心には広い芝生広場があり、この東側に広場をぐるりと囲むかたちで小高い「三日月山」が造られています。斜面が四季折々の花畑となる場所で、この時は一面コスモス畑でした。

白や薄・濃ピンク、オレンジ、斑入り、八重咲きとさまざまなコスモスがこちらも満開で、青空によく映えていました。
山の上にはちょっとした展望台があり、雄大な丹沢の山々や、条件が良いと富士山まで眺められます。上を見ても下を見ても絶景なおすすめポイントです。
素敵な洋館もあります

花菜ガーデンには設計の際もう一つコンセプトがあり、チェコスロバキア(現チェコ共和国)の作家でガーデナーでもあったカレル・チャペックの目指した「暮らしの中の園芸」というものです。
忙しい生活の中でも自分の周りにある自然に触れ楽しんだチャペックの家はプラハに残っており、これをイメージしたガーデン付きの家を園内に再現しています。
蜂蜜色のしっくい壁にはツタがよく広がり、秋の深まりと共に鮮やかに紅葉していました。周囲にはちょっとした林と青空、田園風景が広がるばかりなので、ここが日本であることを忘れてしまいそうになります。
お庭ではダリアやサルビアが色鮮やかに咲き、庭木や芝生の可愛らしいアクセントとなっていました。
農業体験もできる施設です
花菜ガーデンのアグリゾーンには体験学習ができる畑がいくつもあり、この日はサツマイモの葉がとてもよく茂っていました。サツマイモ掘り体験もおもしろそうだよなあ…と思いました。
またアケビなど普段育つ姿が見られない果実を見られて、大人でもいろいろ学べておもしろいと感じました。
JR平塚駅からはバスで20分程度で本数もあり、広々とした駐車場に地産地消がウリのレストランも備わっています。ランチやお茶も合わせて、半日~1日ゆっくり遊べる施設です。
首都圏近郊でちょっと変わったところに足を延ばしてみたい方は、バラが咲き誇る初夏か秋にぜひどうぞ。
旅データ
- 料金:220~880円(時期により異なる)
- URL:https://www.kana-garden.com/