日本を代表する影絵作家、藤城清治さん。きっと誰もがテレビや広告、絵本などで一度は目にしたことがある、メルヘンでかわいらしい影絵が人気です。

私も小さい頃、絵本を持っていたせいか、とても懐かしく、近くを旅行した機会に美術館を訪ねてみました。
栃木県の那須高原にある美術館は、澄んだ空気の中、木々に囲まれた場所に建っていました。入り口は、想像とは違って一軒家のような門構え。おなじみのかわいらしいキャラクターたちが迎えてくれます。

門を入ると明るい庭園が広がり、小道が奥に続いています。まるで誰かのお家にお邪魔しているような気分です。
小道を進むと、ところどころに何かの気配…!?おなじみのネコやカエルのキャラクターがひょっこり顔を出しています。

藤城さんの世界観にぴったりの素敵な演出でした。

木立の中に見えてきたのは教会のようです。

のぞいてみてびっくり!窓には埋め込まれた美しいステンドグラスが。そこからやさしい光が差し込んでいました。

ステンドグラスも藤城さんのデザイン。同じ光で表現された作品ですが、影絵とはまた違った魅力がありました。

なんとこの教会、結婚式もできるそうです。こんなすてきな教会で式を挙げられたら、きっと幸せになれますね。

教会を出て、少し歩くと、いよいよ美術館入り口に到着です。
残念ながら、館内は写真撮影ができなかったのですが、プロジェクションマッピングなど、最新の技術も取り入れながら、藤城さんのメルヘンの世界に入り込んだような気分にさせてくれました。

展示されている約150点の作品のなかでも、いちばん感動したのが、巨大な水槽を活用した影絵の大作です。うまく言葉で言い表せませんが、水面にうつる影絵と、左右にある鏡にうつる影絵が、無限に広がっているようなとても幻想的な作品でした。
メルヘンな作品だけでなく、藤城さんが被災地を訪ねてスケッチした、東日本大震災からの復興を願う作品も。見ている人に訴えかけてくる、強いメッセージをもった作品でした。
そんなに大きな美術館ではありませんが、藤城さんの70年の創作活動がつめこまれた、とても密度の濃い空間でした。
まるで映画を観た後のような、ちょっと現実ばなれした気分でミュージアムショップへ。お気に入りの作品のポストカードを購入し、隣接しているカフェでしばし余韻に浸りました。

那須高原の「藤城誠治美術館」。アクセスは少し不便ですが、わざわざ行ってみる価値のある場所かもしれません。きっと藤城さんの光と祈りの世界に魅了されます。
旅データ
- 入館料:1,600円
- 那須シャトルバス「キュービー号」で藤城清治美術館下車
- URL:https://fujishiro-seiji-museum.jp/